2010年3月24日水曜日

乾いた浴室

一月に一度だけの撮影
思惑の違いも包容し
身を守る術を探しあぐね
冷たい浴室の浴槽の中
蛇口を捻りたいという
彼の欲求をなぜ抑えたのか

はからずも
浴槽を少女が落ちた掘に見立て
私は冷たく乾いた堀の中
もがき満たされる
小さな窓から注ぎ込む光

現実と折り合いをつけなければならない膿がきっと
このヒフと身体の間に沈殿し
私は息も出来ない

さっき剃刀を当てたばかりの
薄く透き通った頼りないヒフの
両の脚を小さな浴槽から突きだし
私は喘ぐ


貴方の欲望に応えることは
きっともうやめました
けれどもそれは
きっと貴方が望んだこと

コントロールされている

そんなはずのない場所で
悲しみがわき出して
あそこの変わりに
涙が浮かび
魂が繋がりたいと切望していた
だのに言葉は出ない

冷たい床
くすんだ壁
冷えきった身体に
私は固く食い縛る
全てを記憶していれば
柔らかい水を浴びられるだろう

そう呟きながら
隠したあの頃の傷に痛み
私は満たされる

帰りに小さな鉢植えをもらって
また少し満たされる

0 件のコメント: