2009年10月24日土曜日

光の匂い

髪、首、耳、目、鼻、口、歯、喉、頬、顎、胸、腹、背、腰、脇、腕、肘、手、指、膣、 尻、腿、膝、脛、足、踝、踵……
肉という字同様に一字で表現できる部分を
光が閉ざされた部屋の中
ライトの光で肉体の隅々を照らし出したい。

あれは確か
20年も前のこと
私達の初期の撮影は
まさしくこの行為だった

彼は最近知った
魅惑的なブルーについて
滔々と語り続け

私は冷たい皮膚を
無機質な暖かい床に横たえていた

その時
皮膚で感じた光の感触と
私の體に浸食する
カメラの鋭さを
私はこの20年もの
長い長い年月
ずっと
ずっと
追い求めてきたんだった


その行為が例えば
私達に取って
二度と取り返しのつかない
退廃への道行きであろうと

私は甘んじて
死にゆくよりも
ずっとずっと軽やかに
彼の作り出す
甘美な映像の中へと


ゆっくり

沈んで

行くのだろう


願わくは
死にゆく私を
映像の中へ
留めて

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