2009年8月26日水曜日

吸血鬼

始まりは京橋の図書館だった
私は19歳で浪人中で
新富町にある父親の事務所に通っていた頃
外界と繋がることが難しかった時代に
毎日図書館に通って何かを探していた
本を読むためだけにやっと生きていた

理生さんの吸血鬼を読み
最後のページに上演時のキャスティングを見つけ
程なく岸田事務所+楽天団の劇団員募集の広告を雑誌『新劇』で見つけた
『私について』という作文を何度も何度も書き直して送り
入団試験を受けイオの会に入り
その時から私の
女優としての人生が始まった
現実と繋がり始めた

劇団で触れる何もかもが新鮮で楽しくて
先輩から多少嫌味を言われても
何も辛くなかった
ただただ夢中にのめり込んで
他の何もいらなかった

行くべき場所に行く時は
「応募書類を作るのがめんどくさい」などとはきっと思わないものだ

数ヶ月経って演出家の和田さんが私に言った
「幸は顔が変わってきたな。ここに初めて来た時は死にそうな顔をしていた」
和田さんはいつもモゴモゴと何を言っているのか判りにくいのだけれど
時々伝わってくる言葉はいつもとてもとても大事な言葉になる
アゴラ劇場での「阿呆列車」を見に来てくれた時は
「幸は水みたいだな」と
それでここがwater loverになった

多分両親は私が死にそうな顔をしていたことになど気づいていなかっただろう

0 件のコメント: